親と子の関係
私も親となり、子供の将来を考える様になりました。自分が若かった時の事を思い出すと少し不安です。
小さい時は病弱で泣き虫、反抗期は長く、我がままな性格の男の子でしたから。さて、我が息子との関係はどうなるのでしょう?
このコーナーでは、これから父親となる私の覚悟を参考に、私の思う親子の関係をお話します。
愛するという事
親子の関係に一番大切なのは親子愛です。自分と愛するパートナーの遺伝子を持って生まれて来た赤ちゃんは誰しも可愛いものです。
しかし、子育てを始めると、おむつを替えたりお風呂に入れたり、泣きわめくのをあやしたり、手の焼ける事も多く育児に疲れてしまう事もあります。
そんな時でも、赤ちゃんがニコッと一瞬微笑んでくれるだけで一気に元気になったりもします。
人間の子育ては他の動物と違ってとても手が掛かるというか、手をかけます。言葉の分らない赤ちゃんの気持ちに気付こうと一生懸命になります。
そうして愛を育んでいきます。
生まれて右も左も何も分らない赤ちゃんにとっての羅針盤となる親は、子供の進むべき方向を指し示す必要があります。
何が得意で何が苦手か、子供の向き不向きを知り、良い所を伸ばすばかりでなく、苦手をどう克服するかを考えるのが親の役目であり教育です。
その為の第一歩は、できるだけ客観的に子供を知る事だと思います。
私は「愛とは知識」と思います。どうやって生まれ育ち、何に喜び、どんな時に泣き、どんな表情を持っているのか。
「この世界で一番あなたの事を知っているよ」というのが愛しているということではないでしょうか?
だからお腹の中の成長を見守り生まれてから母乳を与え育てるお母さんは子供の一番の理解者であり最愛の存在です。しかし、成長する段階で、保育園や幼稚園、学校や塾、だんだんと子供の事を一番に知っている存在とはなれなくなっていきます。現代日本はこの「我が子を知らない親」が増えています。
これは夫婦関係においても同じかもしれません。恋人時代は、相手を知りたい!自分を知って欲しいという欲望からお互いの事を誰よりも知ろうとします。
しかし、結婚し子供が生まれ、育児が忙しくなり生活にかかる経費も増える為働く時間も増え、お互いを知らない夫婦が増えています。
日本の生活環境で問題となるのは、この「知っていてくれる存在が無くなる事」ではないでしょうか。
日々のコミュニケーションは、子供やパートナーを知る唯一の方法であり、それが愛を育む為の重要な行動です。
親子の関係において、反抗期や喧嘩等が原因で困難な時期もありますが、知り合う事を諦めてはダメです。一人一人の個性もあるので理解し合う事は無理な事もありますが、誰しも自分を認めて欲しいという気持ちを持っています。自分を認めてくれる相手には素直になれるものです。
自分を知ってくれている人が居る事、愛してくれている人が居る人は何事にもチャレンジする勇気を持てます。
そして「自分を見て欲しい」という気持ちが起こす反抗心を生まない事にも繋がります。
親となった以上は「自分の事で精一杯」等とは言ってられないという事ですね。家族を持つって大変な事です。
親子で遊ぶ
もくレンでは親子で遊びながら子供の個性を発見出来る機会を増やせる様に、おもちゃを担当者が選び一度に3点程の選択を子供が出来る様にしています。そしてアンケートを記入してもらう事で子供を客観的に見る時間を作っています。
まだ語彙の少ない赤ちゃんの場合、感情は表情で判断するしかありません。私も色々な事をして子供を笑顔にしようとします。でも中々難しいです。
そこで玩具の登場です。玩具を使って子供と遊ぶと成長が見えます。つい昨日までは何の反応もなかったのに今日は笑ったり、ずっと見つめていたり、何を考えているかは分りませんが確実に成長していると実感します。
こうして遊びを通して子供とコミュニケーションが取れると嬉しくなります。
また、お客さんのお子さんに店頭で遊び方を教えていると、少しずつ緊張がほぐれていくのも分ります。
慣れて店内で走り回られると困りますが、子供が興味を持つ物を一緒に挑戦する事で仲間意識や競争意識が芽生えていくのも分ります。
店頭の玩具コーナーに来る親子を見ていると、一生懸命に親へ「遊ぼう」と誘っている子もいれば、同じ歳の頃でも一人で黙々と遊ぶ子もいます。
1つの玩具でずっと遊ぶ子も居れば、次々といろいろなものへ目移りしている子も居ます。個性は様々。まるで大人社会を見ているようです。
ただ、帰った後の店内を見ると子供である事を実感させられます。大抵、玩具がバラバラになってますから(笑)
子供の躾をするのは中々難しい事ですが、親子で遊ぶとお片付けもセットで教えられます。玩具は遊んで終わりではありません。
子供は赤ちゃんの時からずっとずっと親の姿行動を見て学んでいます。子供も親の笑顔が見たいと本能的に思うでしょう。
玩具を使い遊びながら楽しんで躾をする。親子遊びの本当の目的はこれなのかもしれません。
最後に
ここまで読んで頂きありがとうございます。私達が「もくレン」を開発する前、テレビ等で小学生の自殺やストレスによる円形脱毛症がニュースで流れていました。
その2007年にはまだ私自身に子供は居ませんでしたが、スタッフには小学生の子供が居り、日常会話等で子供を取り巻く環境の変化を身近な問題として感じました。
北欧専門店である弊社は当然の事ながら北欧の子育て環境を調べ、日本との違いにショックを受け、問題解決に役立てる事はないのかと日々考えた事を覚えています。
実は私は小学生時代よりボランティア意識が強く、赤十字活動を始め様々なボランティア活動をしてきました。今日でも人生相談を受けたりカウンセリングを行なったりしているのですが、以前は不登校問題や障害者の社会進出問題に取り組んでいた時期もあり、社会的弱者の心の叫びを生で聞いて来ていました。
その為、小学生のニュースは直ぐに理解出来、同時に小学生では既にストレスの原因を解決する事が難しい事も知っていました。
そこで、生まれて直ぐからの環境改善が必要であるという考えになり、スタッフの長江と共に「もくレン」の基本プランを組んでいきました。
丁度その頃、日経流通新聞の記事でアメリカでの玩具レンタルの記事が目に入り、レンタルという育児支援形態にしようと言う事になりました。
さらに、今日でもお世話になっていますが、地元の鳥取大学大学院で子供の脳に関する研究をされている研究生の方がお客様でおられた事で、もくレンに脳科学や赤ちゃん研究の考えも取り入れられる様になり、より専門的な見地での遊びが提案出来る様になりました。
ただ、実はこの段階で「木のおもちゃ」でなければならない根拠はありませんでした。単にお店で扱っていて人気があったからという理由でしたが、別項で記載した様な優れた点が「もくレン」をテストスタートした後に分ってきたのでした。
このようにしてスタートしたもくレンですが、今では口コミで日本全国から御注文を頂く様になりました。育児環境を改善させたいとの思いがあるので更に広げたいのですが、木のおもちゃの製造数自体が少ないため中々広げられない悩みもあります。
今後も少しずつ玩具を増やし、子供達の育つ環境を少しでも改善出来ればと思ってもくレンに取り組んでいこうと思います。
よろしくお願い致します。
2010年2月18日 有限会社Reindeer 代表取締役 藤 原 聡 司