もくレンのちょっと難しい話
このコーナーでは社長の藤原が「もくレン」のプログラムに折り込まれた理念を語ります。
北欧と日本の教育(その1)
2008年現在、日本を含む世界の国の中で、最も教育で成功したと言われる国が北欧の国フィンランドです。PISA(OECD生徒の学習到達度調査)によって世界No1の教育国として発表され、2003年のアメリカ「ニューズウィーク」誌は“教師として、生徒としても世界一はフィンランドである”と記載。その特徴を一言で表せば「落ちこぼれを作らない教育」と言われ、現在世界中から注目を浴びています。
※ PISA(Programme for International Student Assessment,) 日本では国際学習到達度調査とも言われる。頭字語からPISAと呼ぶ。OECD加盟国の多くで義務教育の修了段階にある15歳の生徒を対象に、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシー、問題解決を調査するもの。国際比較により教育方法を改善し標準化する観点から、生徒の成績を研究することを目的としている。国立教育政策研究所が編纂し調査データファイルがすべて公開されている。
皆さんは具体的な教育システムの何が日本と違うと思われますか?“落ちこぼれ”とは言葉が悪いですが、フィンランドでは理解力の弱い子供達への教育環境に力を入れているのが特徴です。近年、「一芸」や「次世代を担うリーダーの育成」等と日本では優れた人間を育てる事に注力されましたが、フィンランドでは逆に、「出来る子は、放っておいても自分で学習し向上する。教える事が難しい理解力の劣る子供達に教師は専念するべきである」との教育理念があるのです。
その為、年齢、家庭、性別、経済状態、母語、に関係なく学ぶ機会が同等に与えられ、教育に係る費用は一切かからない。学費、給食費、筆記用具等は国民に平等に与えられます。
日本は「義務教育」として、就学義務を国民の権利で法を制定したが、学習内容というよりは学校に通わせる事の義務であり、不登校や対象年齢を超えた人達が義務教育の内容を学習できる場は少ない。一方フィンランドでは、学校に行かせているかどうかではなく、学習の理解度に重点が置かれている。年齢が高くなっても基本の学習を学べるのである。
寺子屋や初等教育等、日本は歴史上教育構造を変更してきてます。1947年の学制改革で現在のシステムが確立され今日まで続いて来たのですが、今日の状況は導入当時とは大きく違って来ているように思います。
農村部や離島といった、人口が少ない地域でも教育が平等に受けられる環境作りが行なわれていた日本ですが、今日では経費削減や人口減少の影響から、分校廃止、学校の統合が進められ、都市部と農村部では就学義務を果たすにも差が生まれています。教育の平等があってこその高度経済成長を成し得た日本の教育環境は今、崩れているのです。
フィンランド教育は日本が元来確立していた教育理念を今も継続していると言えるかもしれない。文武両道の考えや、牛乳給食、教科書の無料提供は現在でも日本が世界に誇る進んだ環境構築である。中国やシンガポール、PISAの調査で上位に来ている韓国も日本の教育システムを取り入れている点から見ても、失ってはならない教育環境ではないでしょうか。
現在のフィンランドの高い教育レベルは、高い資質をもった教師の育成から始まっています。
フィンランドの教師は通常、大学の教育学部で専門の教師育成プログラムを受けます。実際の授業運営のみならず、各種教育機関、企業、公的機関等様々な場所で行なわれ、様々な社会環境に対応出来るリーダーシップに富んだ人材育成がされていくのです。保護者の尊敬や信頼も厚く、教師に与えられている権限も多い。その為フィンランドには、日本で言う所の“塾”というものが無いのです。日本では、文科省の指定した教科書を使用する事が決められているが、フィンランドでは教師が教科書を自由に選ぶ事が出来、また、使わない事も許されるのです。その場合は教師が自分で資料を作成しています。
更に、如何に優れた教師であっても万能ではないので、保護者は教科によって学校(習う教師)を変える事も出来たり、又、部活動は、学校毎に分野も別れています。学校別に争うのではなく、各学校は得意とする部活動を受け持っており、生徒達は多くのコミュニケーションの場を得る事が出来ています。
このように学校を自由に選択出来ると、生徒の集まる学校と集まらない学校が出そうだが、実際は違い、生徒や保護者は、有名な学校や先生に習う事が目的ではないから、自分にとって一番相応しい学校を選ぼうとし、学校毎の優劣も無く、どの学校に通っても上級の学校へ行く事が出来る形になっているので、自分の能力に合ったコースや教師を選べるのです。
学ぶ事そのものを中心として教育環境が設定され、成績優秀な人だけではなく、個人個人の成長スピードに合わせて教育が受けられるため、フィンランドの学習到達度は平均して高いのである。これは先のPISAのデータでも見て取れ,フィンランドは総合得点もトップであるが、理解度の低いレベル1以下の割合が平均して5%以下と少なく、少ない事でもトップである。日本は全体の15%の習熟度が低いと数値で表され、総合順位よりも問題視しなければならない点であると思います。
教育で重要な事は何かをフィンランドは教えてくれている。平等な教育環境。選択の自由。教育者の資質。個人個人に合わせる事。そして、コミュニケーションである。
もくレンでは、平等な教育環境を設定するため、日本全国一律料金の設定をし、選択の自由をお子様が体感出来る様に一度に3〜4点のおもちゃを送付しています。
教育者の資質では、乳幼児には保護者の資質アップが重要と考え、成長確認アンケートやお手紙でのアドバイスにより、保護者へ育児の知識を伝える形にしています。
個人個人に合わせる事、これは、「もくレン」の最大の特徴であり、私達が育児で最も大切にしている事です。
そして、コミュニケーション。言葉の未熟な赤ちゃんとのコミュニケーションは、ひとつ間違うとストレスになります。私達が外国へ行き言葉がわからなくてストレスになるのと同じで、言葉での説明はすればする程ストレスになります。もくレンでは「遊び」を一緒に行なう中でお子様を理解出来るようにお手紙で遊び方をお伝えしています。
※参考図書:福田誠治「競争をやめたら学力世界一:フィンランド教育の成功」朝日新聞社